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2020年4月17日(金)
当店では「認知症の人と家族の会」の京都本部、北海道支部、札幌認知症の人と家族の会の3つの賛助会員となっております。
毎月各会報が送られてきますが、その中の札幌認知症の人と家族の会の会報「なごみ」の介護体験がとても心に響きましたので、ちょっとご紹介させていただきます。
94歳のご主人は、認知症の奥様の介護をされて5年。
「妻への愛情と罪の償いの願いをエンジンとして夢中で頑張った。介護の質が重くなっていく中でも、二人揃って生きられる喜びに満たされていて妻の米寿の祝いの色紙に「今が一番しあわせ」と書いた。」
とあります。
なんて素敵なご夫婦なんでしょうと胸が熱くなりました。
その後、ご主人は体調を崩され、やむを得ず奥様はグループホームに入所されます。
ここでは、もともと奥様の一時帰宅に相当な制約があり、まして現在は新型コロナウイルスの影響で面会もできません。
ご主人は、奥様がグループホームに入所されたことを
「気が付けば、この時から私たちは独り旅が始まっていた。人間は一人で生まれ独りでなんとやらと云う、それがはじまったことを寂しく自覚させられた。」と書かれています。
せつなくもありますが、最後には、「老いへの道は険しいが元気で楽しくありたい。」と綴られていて、この方にとても惹かれました。
私は、まだ少し先ですが、老いることへの心境や心の持ち方など、いろいろなことから参考にしてこうありたいな、というものを自分で持っています。
「北海道認知症の人を支える家族の会」会報には看取りについての研修記事がありました。
札幌のグループホーム「福寿草」総合施設長の武田純子さんは、江別すずらん病院認知症疾患医療センター長の宮本礼子先生と共同著者として「認知症を堂々と生きる」という本を出版されており、昨年は健やかな社会の実現と国民生活の質の向上を目指し、献身的に活動する方々をたたえるヘルシー・ソサエティ賞を受賞されました。
武田さんの講演は何度かお聞きしました。
介護の内容も素晴らしく、こちらの施設では看取りもしています。
延命処置はせず、自然のままお見送りします。
延命処置をしない看取りは結局餓死させてしまう、と思われがちですが、そうではありません。
人は食べられなくなって死ぬのではなく、死期が近づいたから食べられなくなる。
飢餓感や喉の渇きはなく、脳内麻薬のエンドルフィンが出てまどろみの中、心地よくこの世からあの世に移行するそうです。
むしろ点滴をした方が、水分が多くなりすぎて心臓に負担がかかったり、タンがからんで苦しい思いをするそうです。
私はかつてあることで緊急入院し、緊急手術の前のベッドの中の意識が遠のきそうな、まどろみの中で「ああ、人ってこんなふうに逝くのかな、あれこれ考えることもなく、意外と穏やかに逝くのかな、そんなに恐いことではないな」なんて考えたことがあり、それに少し似てるのかな、なんて思ったりしていて、このような看取りにはとても共感しています。
人それぞれの看取りのかたちがありますが、選択肢のひとつとしてご参考にしていただければと思いご紹介しました。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で規制された先の見えない不安な毎日が続きますが、罹患しないように一人一人が気を付けるしかありません。
早く収束することを祈るばかりです。
最後は癒しのお写真です。
写真 株式会社エイワイシー顧問 高梨雅行 「カタクリの花」
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