ブログ
2019年6月17日(月)
最近、はっとしたことがふたつほどあります。
だいぶ以前に、「認知症患者に認知症のお薬は規定量まであげると副作用が強くて使えないけれど、何もしないわけにはいかないから、少量では効き目はないが、副作用が出ない量で処方して患者をつなぎとめているのが今の医療で薬をやめるという選択はないのか」と書かれている先生がいらっしゃいました。
その時は、なるほど、そういうことかと、このブログにも書きましたが、そんなことはなく、実は本当に少量でも効くというお話しをお聞きしました。
ある先生はとても患者さん想いの素晴らしい先生ですが、少量でも薬を使うのと使わないのでは効果がきちんとわかるとのことでした。
人によって異なるものなので、認知症のお薬も一概に否定するものではないと思いました。
もうひとつは、「公益社団法人 認知症の人と家族の会」会報誌「ぽ~れぽ~れ」6月号の
トップ「新 世界の情報」にて。
今回は山口大学大学院医学系研究科臨床神経学 「家族の会」山口県支部代表世話人 川井元晴先生です。
川井先生は「一般社団法人 認知症予防・改善推進会」の倫理委員でご協力いただいている先生なので、遠い山口県の先生ですが、私もお会いしたことがあります。
今回の「身体的不活動は認知症の危険因子にならないのか(イギリス)」を簡単に説明しますと、認知症予防に運動が良いとされており、実際に有酸素運動や筋トレ、ウォーキングなどが認知機能を改善するという報告があります。
ところが、イギリスの権威ある医学雑誌に、これらとは異なる研究結果が報告されました。
その研究とは
認知症ではない40万人の9年から21年間分の個人情報を分析した。
「1週間に30分以内しか運動しない」「ゆっくりとした散歩のみ」「年に数回しか運動しない」などの例を挙げ「身体的不活動性」とした。
10年以上前からの身体的不活動性は心臓病、脳卒中、糖尿病の発症を明らかに高めた。
10年未満の身体的不活動はアルツハイマー病を含めた全ての認知症の発症が高くなっている。
ところが、10年以上前からの身体的不活動性には認知症発症に差がない。
という奇妙な結果になったのです。
この結果については、10年未満に「身体的不活動性」になっているのは認知症になる前(前臨床期)にすでに現れている症状ではないかと考察されています。
積極的に運動しているグループと不活動のグループの間で認知症発症に有意な差がないことも判明しており、身体的不活動性を改善するだけでは認知症を予防することはできないかもしれず、さらに検証が必要とあります。
運動が認知機能を良くするということと、認知症にならないということは、全く別なことのようです。
なんとなく、望みの綱をひとつ断たれたようでがっかりですが、明らかに他の病気の予防にはなりますので、やはり定期的な運動は心がけましょう。
最後に北海道試験栽培農場のガーデンアンゼリカの素敵な写真です。
他にも北海道の風景のお写真をいただきましたので、毎回少しずつ載せていこうと思います。
写真 株式会社エイワイシー顧問 高梨雅行
人気TOP5